スポーティかつ5ナンバー枠。国内外を見回してもなかなか見かけない個性の持ち主、ホンダ「グレイス」のおすすめグレードは?

セダンラボが今回ご紹介したいのは、ホンダのセダン・ラインナップの中で最も安価なモデル、グレイスです。5ナンバーサイズに収まるコンパクトなボディに、セダンならではの走りの良さと、仕立ての良い内装を持つ、ありそうでない絶妙な立ち位置にあるクルマ。そんなグレイスの魅力に迫っていきたいと思います。

登場は2014年。ホンダの中では「新参者」のグレイス

ホンダ・グレイスが登場したのは、2014年12月のこと。2018年12月現在で、登場から4年しか経っていない、ホンダの中でも比較的歴史の浅いモデルです。発売当初はハイブリッド仕様しかラインナップされていませんでしたが、2015年にはガソリンエンジン仕様が追加され、より多くのグレードから選べるようになりました。

グレイスの車名の由来は、英語の「上質」「上品」を示す単語から取られています。その名に違わない上質かつスポーティな走りと、シンプルで上品な仕立ての内装を持ち、燃費にも優れたグレイスは、爆発的な人気こそないものの、登場以来堅調な販売を記録していました。その後、度重なるリコール問題で販売数を減らしてしまい、現在に至っています。

直接のライバルは、同じ5ナンバーでハイブリッドモデルもラインナップしているセダン、トヨタ・カローラアクシオということになるでしょう。コンサバティブで落ち着いたデザインのカローラアクシオに比べて、よりアグレッシブで躍動感のあるエクステリアを持つグレイスは、外観だけでなく走りもカローラアクシオよりずっとスポーティに仕上がっています。

毎年のように細かな改良が続けられているのも特徴のひとつですが、2017年のマイナーチェンジでは安全運転支援システム「Honda SENSING」を採用して安全性をより向上させたほか、外観上のデザインも近年のホンダに共通するイメージのフロントグリルや前後バンパーに変更。アグレシブな雰囲気に磨きをかけています。

ドライブトレーンはハイブリッドとガソリンの2種類

エンジンの種類は2種類で、ハイブリッドとガソリンから選択できます。ハイブリッドはフィットと共通のシステムで、モーターとの合計出力は139.5PSを発生。2017年のマイナーチェンジ時に制御系も改良し、燃費性能も改善した結果、最も燃費の良いモデルで34.8km/Lという数値を実現しています。組み合わせられるトランスミッションは7速オートマチックのみで、最上級グレードにはパドルシフトが装備され、よりスポーティなドライビングを楽しむことが可能です。

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ガソリンエンジンモデルに搭載されるのは、直列4気筒の自然吸気1.5リッターで、直噴システム、可変バルブタイミング機構、アイドリングストップ機構なども備えた「現代のエンジン」と呼ぶにふさわしいエンジンとなっています。スペック自体は最高出力132PS、最大トルク15.8kgf•mと、特別な性能を持っているわけではありませんが、FFモデルで1,110kgの比較的軽量なボディを引っ張るには十分な動力性能を確保。組み合わせられるトランスミッションはCVTのみとなっています。

ハイブリッドモデルに関しては、ホンダ自身が「SPORT HYBRID i-DCD」と呼ぶダブルクラッチトランスミッションを搭載していて、ダイレクトな加速フィーリングを実現。そのスポーティさを強くアピールしています。スポーツモードに切り替える「Sモードスイッチ」も装備していて、ボタンひとつでエンジンのトルク感を活かしたレスポンスの良い走りに切り替えることが可能です。

グレイスのおすすめグレードはこれだ!

さてここで、グレイスのおすすめグレードをズバリ、発表しましょう。ミドルグレードにあたる「HYBRID LX・Honda SENSING」のFFモデルです。では、その理由を解説していくことにしましょう。

理由その1。Honda SENSING搭載モデルは外せない!ということです。Honda SENSINGに搭載された機能は数多く、衝突軽減ブレーキ、歩行者事故低減ステアリングなど、これからも長く安全運転を続けたいのであれば欠かせない装備と言えます。また、ホンダではレジェンドに続いて2車種目の採用になるオートハイビームも、夜間の安全性を飛躍的に高めます。

理由その2。本革シートやプライムスムースとファブリックのコンビシートこそないものの、十分に上質な内装や装備を備えているということ。フロントガラスは遮熱機能付きで、ヘッドライトは明るいLEDタイプ。本革製のステアリングホイールも装備しています。シートはファブリック生地となりますが、形状がよく練られている上、作り自体がしっかりとしているので、長距離の走行時にも威力を発揮します。

理由その3。グレイスのシリーズ中最高の燃費性能を持っているから。HYBRID LX・Honda SENSING」のFFモデルの燃費は34.8km/Lと、ライバルのカローラアクシオの34.4km/Lをわずかに上回るカタログ値を記録しています。最上級グレードよりも軽い車体と転がり抵抗の少ないタイヤが、この数値を生み出しているのでしょう。ホイールのサイズが小さく、扁平率の大きいタイヤを採用していることもあって、乗り心地がよりまろやかなこともおすすめできるポイントです。

ホンダの誇る安全運転支援システム「Honda SENSING」とは?

Honda SENSINGは、ミリ波レーダーと単眼カメラの二つのセンサーによって、歩行者の存在を感知したり、車両前方の対象物の大きさや形状を把握、必要に応じてステアリング操作やブレーキ操作を支援するシステムです。

衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、ACC(アダプティブクルーズコントロール)、オートハイビーム、路外逸脱抑制機能、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、LKAS(車線維持支援システム)、ざっと挙げるだけで9つの機能が搭載されています。

アダプティブクルーズコントロールや車線維持支援システムは長距離の運転時の疲労を飛躍的に低減してくれますし、もしもの時のための衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリングといった機能も、毎日の運転の助けになってくれることでしょう。

他にも、グレイスに備わる機能として、VSA=Vehicle Stability Assist(車両挙動安定化制御システム)があります。EBD(電子制御制動力配分システム)、ABS(4輪アンチロックブレーキシステム)、TCS(トラクションコントロールシステム)を組み合わせて総合的に制御することで、旋回時の横滑りを抑制するシステムです。やむを得ず急ハンドルを切った時や、雨や雪などの滑りやすい路面状態を走行する際に絶大な威力を発揮します。

フィットをベースとしたとは思えない、上質な走りのセダン

ホンダ・グレイスは、日本の5ナンバーという独特の制度の中で、最大限の努力を重ねて開発したことがひしひしと感じられる、ホンダの良心とでもいうべき隠れた名車です。リコール問題も落ち着いた今、あえて試してみるべき価値のある一台だと感じています。

良心を感じるポイントのひとつは、大きなトランクスペースと、そのアレンジメントの幅広さです。トランクの容量は430リッターと大きく、大人4人のゴルフにも対応できるほどの大きさを確保。さらに後席を前に折りたたむことで、トランクとキャビンを繋いで長尺ものも搭載できるトランクスルー機能を装備しています。後席は左右別々に折りたためるので、3名乗車時でも長い荷物を乗せることができます。

もうひとつの良心を感じるポイントは、後席の乗り心地が非常に優れていることです。足元のスペースも広く、シートのクッションは分厚く、ベースとなったフィットとは別次元の乗り心地を実現しています。着座点をフィットよりも低く、位置を前後席ともに後ろに移動しため、頭上の空間は広く、前席の足元も広くなっているのです。

低い重心と高いボディ剛性が生む、機敏な身のこなしと優れた乗り心地。そして5ナンバーに収まるコンパクトな車体と、財布に優しい燃費性能。ホンダ・グレイスは今こそ乗るべきコンパクトセダンだ!と太鼓判を押して、この項を締めたいと思います。それでは、また次回お会いしましょう!

[ライター/守屋健]