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コラム

13年ぶりに無印のネーミングが復活したトヨタ・カローラ。再び日本を代表するセダンになり得るのか?

2019年は、セダンファンにとって忘れられない年になるかもしれません。日本の、そして世界の大衆車の代名詞「トヨタ・カローラ」が、サブネームなしで帰ってきたのです。長年頑なに守り続けた5ナンバーに別れを告げ、ついに3ナンバーボディとなったのも、大きな話題となりました。
新型カローラは、販売の初動も非常に好調です。2019年11月7日付で自動車販売協会連合会が発表した10月の販売台数において、ステーションワゴン(カローラツーリング)とハッチバック(カローラスポーツ)を合わせたシリーズ合計ではあるものの、11年ぶりにカローラが販売台数1位に返り咲きました。
今回のセダンラボは、新型カローラを中心に、カローラの歴史にも触れていくことで、このクルマを貫く「変わらない魅力」に改めて迫っていきたいと思います。

最初から輸出も考慮して開発された初代

カローライメージ1
トヨタ・カローラの初代モデルが登場したのは1966年。あまりに質素なパブリカが商業的に成功しなかったことを受けて、デラックスな雰囲気のあるインテリアとエクステリアを備えつつ、当時次々と整備されつつあった高速道路の移動も楽にこなせる、走行性能の高い小型セダンとして開発されました。
当時3速のコラムシフトが主流だった中で、カローラはクラス初の4速フロアシフトを採用。高速道路での移動に余裕を持たせました。また、ライバルのサニーが1000ccで開発されているのを事前に掴んだ開発陣は、エンジンを急遽100cc拡大して1100ccとし、「プラス100ccの余裕」をキャッチコピーとして販売。ライバル車たちよりもわずかに高価ながら、装備と価格のバランスの良さで商業的に大成功を収めました。
また、カローラは初代モデルから海外への輸出も考慮に入れた国際戦略車でもあり、生産の拠点としてトヨタの本拠地・豊田市に専用の大規模工場「高岡工場」を新設するほどの、大きな期待が込められたクルマでした。初代カローラはその期待にしっかりと応え、「世界を代表する小型車」としての第一歩を踏み出すのです。

カローラを貫く「80点プラスα主義」

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その後、カローラはおよそ5年のスパンでフルモデルチェンジを繰り返し、トヨタの屋台骨を支える車種として成功していきます。初代モデルの開発主査、長谷川龍雄氏の掲げた「80点プラスα主義」という考え方は、トヨタ自体のキャラクターを示す言葉としても浸透していくほど、カローラは社内外に大きな影響を与えました。
参考:セダンの買取専門ページです
転機となったのは、先進的なメカニズムとキャラクターを持つトヨタ・プリウスのデビューです。それまでカローラが持っていた「ちょっと時代の先を行くセダン」というイメージはプリウスが担うことになり、カローラは「カローラアクシオ」と名乗りを変え、「5ナンバーサイズの保守的な最下級セダン」というポジションになってしまいます。
また、輸出仕様のカローラと、国内販売専用のカローラアクシオとの剥離も進み、それらが統合されることはこれから先もないのでは?という予想すら立てられるほどでした。実際、トヨタは「地域最適化」を謳い、世界各地でのクルマの仕様を細かく分化して販売していました。しかし、世界的なスポーティデザインの流行とクルマのモジュール化、トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)の採用などが後押しとなり、カローラは再び車両統合へと動き出します。
その先駆けとして、型式名「E21」の5ドアハッチバックが2018年に登場。「カローラスポーツ」を名乗り、12代目カローラシリーズの先駆けとして同年6月26日から販売され、大きな注目を集めました。そしてそれに遅れること約1年、2019年9月17日に待望のセダンモデルとステーションワゴンモデルがフルモデルチェンジ。前者はアクシオのサブネームが取れて、単に「カローラ」を名乗り、後者は「カローラツーリング」のサブネームを与えられました。セダンにおける無印のカローラは、日本国内では13年ぶりの復活になります。

新型の販売は順調な滑り出し

カローライメージ3
久しぶりに国内市場に復活したサブネームなしの「カローラ」。発売当初のリアクションは非常に好調で、発売1ヶ月後の受注台数は5,400台。月販売台数目標が1,700台に設定されていたにも関わらず、約3倍の受注を獲得しました。ステーションワゴンの「カローラツーリング」は13,700台(月販売台数目標は5,400台)、一部改良を行った5ドアハッチバック「カローラスポーツ」は3,000台(月販売台数目標は2,300台)、シリーズ全体で約22,000台を受注するなど、新型カローラは順調なスタートを切ったと言えるでしょう。
歴代カローラ、そしてカローラアクシオとの最も大きな違いは、頑なに守っていた5ナンバーサイズをついに捨て、3ナンバーサイズのボディを獲得したという点です。トヨタ自身もそれについての重要性を十分に理解していて、カローラのボディは3ナンバーサイズではあるものの、全長で135mm、全幅で35mmそれぞれ短く、ホイールベースすら60mm短縮した日本専用ボディをわざわざ用意しました。さらに、ドアミラーの取り付け位置を工夫することで、ミラー格納時の寸法を実質的な先代モデルであるカローラアクシオと同等とするなど、それまで5ナンバーボディに慣れたユーザーのためにきめ細かい配慮がなされています。

1.8リッターガソリンモデルがおすすめ

カローライメージ内装1
搭載されるパワープラントは大きく分けて3種類。1.8リッターエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド、1.8リッターエンジンモデル、そして6速マニュアル車にのみ採用される1.2リッターターボエンジンです。
ハイブリッドモデルに関しては先代モデルの1.5リッターから1.8リッターに換装され、走行性能の向上が図られています。また、先代のカローラアクシオにはラインナップされなかった、ハイブリッドモデルの4WDモデルも用意されています。6速マニュアル車専用の1.2リッターターボは、カローラスポーツと共通の仕様です。
グレード体系はベーシックなモデルから順に、「G-X」「S」「W×B」の3グレード構成となっていて、6速マニュアル車は「W×B」にしか設定されていません。最も安価なモデルは、ガソリンエンジン・CVTの「G-X」で、193万6千円からとなっています。
実は、セダンラボのおすすめグレードは、この最廉価グレードの「G-X」です。このカローラでは新しくTNGA(GA-Cプラットフォーム)が採用されていますが、その低重心設計と高いボディ剛性のメリットを一番実感できるモデルが、この一番「素」のモデル。タイヤの径は15インチで、内装もシンプルの一言ですが、他のグレードよりも飾り気がない分、よりじっくりと走りの良さを実感できます。
特に、素直な出力特性を持つ1.8リッターの自然吸気エンジンは、ダウンサイジングターボ全盛の現代では貴重な存在です。高回転まで引っ張って気持ちがいいエンジン、というわけではありませんが、ハイブリッド・2WDモデルの「W×B」の車重1,370kgに対し、100kg以上も軽い1,250kgに収まったガソリン・2WDモデルの「G-X」の走りは、ハイブリッドモデルの上級グレードに比べれば軽快そのもの。それでいて、カローラの伝統でもある「ふわりとした優しい乗り心地」は、より大きいタイヤを履く上級グレードよりも、15インチタイヤを履く「G-X」の方が顕著に感じられます。昔、一度でもカローラに乗ったことのある方は、このベーシックグレードの乗り味に「懐かしさ」と「変わらない美点」を感じることでしょう。

再びカローラの挑戦が始まった

カローライメージ内装2
セダン不遇の時代と言われながら、2019年、新たに大きな期待を背負って誕生した新型カローラ。ついに3ナンバーボディを手に入れながらも、それまでのユーザーにも最大限配慮した作りと、高い走行性能、そして新型セダンとしてはリーズナブルな価格を実現しています。また、先代モデルまでとは比較にならないほど、スポーティで軽快、かつ高い剛性感を感じさせる乗り味が特徴です。
当初の販売こそ順調な滑り出しを見せましたが、今後の売り上げはどのように推移していくのでしょうか。かつて「日本の国民車」と呼ばれたカローラの新しい挑戦は、今新たに始まったばかりです。
[ライター/守屋健]

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